Monday, May 25, 2015

伊坂幸太郎 夜の国のクーパー

あくまで非常に個人嗜好的な感想。

まず前提として、自分はミステリー小説が読めない。ゴールに向かう感じとか、伏線とか、ドンデン返しとかが、どうにも都合主義に思えてしまう。人生そういうことじゃないでしょう、と無粋ながらイライラしてしまう。正直、娯楽小説の世界で一番充実しているのはミステリーのようだから、その世界を楽しめないのは残念だけど、こればかりはしょうがない。

さて、この作家が面白そうだとは前々から気になっていたけど、やはりカテゴリー的にはサスペンスということで敬遠してきた。けれど、こちらの本は、表紙と最初の数ページを読んだ限りでは娯楽ファンタジーぽかったし、どうも猫の描写が面白そうだということで読んでみた。

…結論から言うと、ダメでした。割と長編ながら、ページはどんどんとめくれて、面白いような気がするんだけど、それは結局、ミステリー的な謎解きというか、ドンデン返しが気になるからであって、今目の前にある文章に興奮なり心動かされる訳では無かった。もちろん、そこに込められた含意や、背景、構成に深い意味があって、それを分析したら意義深げなものにはなるんだろうとは思うのだけど、美術と同じで、感情・感覚的な好き嫌いが、意味より前に来る性質なのだ。所詮、娯楽なんだし。

(ただ、個人的な嗜好として不思議なのは、映画やドラマだったら、そういう謎解きやドンデン返しは気にならないから、アニメ映画なりにしたら面白く見られるんじゃないかと思う。)

とは言いつつ、猫の描写は良かったです。