やっとこTOEICが終わったので(13年前と全く同じスコアで一安心)、積んでた本をまとめ読み。気を抜くと娯楽本以外がたまっていく…。最後の3冊は息抜き。
・父が娘に語る経済の話
この中では一番新しい話題作。債務と格差を中心に平易な解説。個人的に、交換価値から経験価値への転換の話と、「欲望を満たすことと幸福の違い」の話が面白かった。つまり、経済の話ではないというか、経済というのは社会のことなんだなとか。
・心理的安全性のつくりかた
少し前の話題作。題名はミスリーディングで、かなり広い組織論の、読み物というより教科書。実際に「使える」部分も十分あるけど、目が滑る…。
・従属なき道
勉強したかったベーシックインカムについては、歴史と概念的な説明に留まる。そこは期待外れだったけど、より大きな社会変革を各種論じていて刺激的。特に国境開放(完全開放ではなく、3%の移民受け入れ増でも大変な効果)に関して目を引いた。各章最後のまとめが良くできていて、そこだけ目を通すのでもいいかな。
・なぜデジタル政府は失敗し続けるのか
雑誌記事のまとめだけあり、分かりやすく面白かった。政府系システムの難しさは想像にかたくなく、正直、書かれている失敗も想定内で驚きは少ない。デジタル庁に至る道筋と期待についてよく理解できる(とにもかくにも人材なのね)。
・文章術のベストセラー100冊
役所向け文書作りのセミナーで勧められていたけど、その観点では特に目新しいものはなく、むしろ文芸向けのポイントで幾つか有用なポイントがあった。唐突に小説でも書こうかという気になる。
・勝間式ロジカル不老長寿
最近、不老不死ってちょっと良いかもと思い始めたので読んでみた(が、残念ながら人間が死ぬ確率は今のところ100%らしい。サンプルが不足しているのでは?!)。健康に関しては、「十分な睡眠」「良い食事」「適度な運動」が大事らしい。知ってた。お金と社会的資本の話の方が本領発揮で有意義。「お金・健康・やる気のない高齢者は若者や周囲から疎まれ孤独になる」(意訳)と、大変あけすけ。自分の価値観とは多少違うけど、勉強にはなる。
・無貌の神
・金色の獣、彼方に向かう
恒川氏、やはり圧倒的におもしろい。どちらも短編集なので読みやすいけれど、一つもはずれが無い(お気に入りを選ぼうと思ったけど、無理だった)。どれも少し怖くて、不穏で、優しく、余韻がある。
・地上に星座を作る
現役のエッセイストで一番好きな石川直樹氏。どんなに大変な冒険でも、淡々とした、落ち着いた文章で描く世界が美しい。
「桜には鼻腔の奥をくすぐる仄かな香りがあり、撮影をしていてふっと意識を持っていかれそうになる瞬間がある。(p.137)」
こういう文章が書きたい…。