Monday, July 23, 2012

原田マハ「楽園のカンヴァス」

久しぶりに,超弩級(?)のエンターテイメント小説を読んだ。アートミステリー,とのことだけど,特にアートが好きでなくても(that's not me though),特にミステリーが好きでなくても(that's me unfortunately),十分楽しめます。

書評は例のごとくamazonに任せるとして,個人的な話。ルソー作品は,「蛇女」と,「ジプシー女」と,今回の作品テーマである「夢」を実際に見たことがある,と思う。特にオルセーで見た「蛇女」は強烈な印象が残っている。ルソーの評価が確立されたのはここ40年くらいらしいのだけど,この小説にも出てくるとおり,当時から彼の絵や,そもそも世間的に全く評価されていない画家の絵に,強烈に引きつけられる人はいたのだろうな。

(ここで「真善美の普遍性」に思いが飛んでしまいそうなのを抑えつつ)

しかし,普通に本は読んでいる方だと思うけれど,ここまで熱中して読んでしまったのは,3年ぶりぐらいかもしれない。「水の家族」「マシアス・ギリの失脚」「むかしのはなし」「オリガ・モリソヴナの反語法」(「王妃の離婚」「邂逅の森」「沈黙博物館」「村田エフェンディ滞土録」「楽昌珠」)という自分の特A小説リストに久しぶりの追加。嬉しい。

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ちなみにこの前に水村美苗「新聞小説」を読んだ。普通に面白かったけど,歯切れが悪いというか,理解しきれないところがあるというか,客観的に見たら恵まれているけど不満だらけの中年女性の日記を読まされている感じというか…。嫌いではないのだけど。